「みんながやっている」が口癖の人の心理
自分の意見を納得してもらうために使われるのが、「みんなが(も)言っている」「みんなが(も)やっている」という言葉です。
この「みんな」使う効果は、社会的証明を得ることにあります。
「これは私だけの意見ではありませんよ。社会的に認められていることだから正しいのですよ」とアピールしているのです。
人は、個人的な意見よりも大勢の人の同意が得られている意見のほうが正しいと思う傾向があります。ここで「正しいと思っている」のは、言っている側です。
聞いている側が納得するかはとりあえず置いておいて、言っている本人は「みんなが言っているから説得力があるよね?」と思っており、その気持ちが言葉になって表れているのです。
みんながやっているから、自分もやっていいと思ってしまう理由
「みんなが言っている」「みんながやっている」は、ある意味では自分の意見を他の誰かに責任転嫁する言葉です。
周りの人間みんながやっている言動、行動なのだから、常識として扱っても構わない。だから自分も言っていい、やってもいい、となる。自分が決めたことではなく、みんなが決めたことにしているのです。
特に日本では協調性が大切だという考え方が根強いため、不特定の誰かがやっている、言っているという言葉には安心感をもたらす効果があります。
ラーメン屋の行列に並んでしまう
ラーメン店やスイーツのお店の前に行列ができていると、そこに並んででも食べたくなる心理を同調性と呼びます。なんとなく行列を見ると並んでしまう人は同調性を刺激されると簡単に誘導されてしまいます。
社会的に認められていると表明しやすい
同性愛者が一般に認知されるようになり日本でも一部の地域では条例がつくられていました。社会的地位を確立するようになる、当事者はカミングアウトもしやすくなります。地位が低いとされたり理解されにくい職業や趣味も市民権を得るとことで名乗りやすくなるのです。このように個人の意見の妥当性を証明することを社会的証明といいます。
意見が正しいか、妥当かどうか。存在を認められるかどうかは社会的な立ち位置に大きく左右されてしまうのです。
ところで、みんなは何人から?
みんな貯金が100万円ある。友だちがみんな結婚しちゃう。みんなもっとお小遣いもらってる。みんなあのゲームを持っている。
「みんな」とはいったい何人からなのでしょうか??
脳科学の研究によると、あてはまるのが3人以上になると人は「みんな」を使い始めるようです。
「自分が試合を観るといつも負ける」「あいつにはいつも裏切られる」「このお菓子どこでも売ってるよね」も同じような表現と言えるでしょう。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の心理
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ビートたけし(北野武)が使って有名になった言葉ですが、これは悪いことも大人数でやれば大丈夫だという甘い考え方を表しています。
1. 赤信号に遭遇した。まだ我慢している
すぐに渡りたいが、赤だから渡ってはいけない → 理性と抑圧が働いている段階
2. 隣の人が赤信号なのに渡り始め、同調してしまう
私は渡りたかったが我慢している。そこに我慢せずに渡る人が現れた → 心的同調(私ができなかったことを、この人はやってくれた!)
3. 自分の願望が実現されるのを目の当たりにし、理性が壊れる
隣の人も渡った、ならば自分も我慢する必要はない → 理性の破壊、抑圧からの解放が起きる
4. 彼が渡ったから、自分も渡った。正当化
みんながやっているから大丈夫 → 間違った行為なのに正当化してしまう