「簡単(かんたん)」が口癖の人の心理
「簡単(かんたん)ですよ」という言葉の裏には、いったいどのような心理がはたらいているのでしょうか?
その人は、これから取り組む課題を簡単であると認識しているわけですから、楽観的な性格の持ち主であるのかもしれません。
一見、難しそうな問題に対しても「かんたんかんたん」、と言いながら飄々として落ち着いている。
もともとの性格もあるかもしれませんが、実は相手を巧みにコントロールするために「簡単(かんたん)」という言葉を使っているのかもしれません。
苦手意識を吹き飛ばす魔法のキーワード
パソコン専門店の店員であるBさんは、お客さんに対してまず、
「ああ、簡単に出来ますよ」
と言うようにしています。
なぜかというと、「簡単だ」と言わないとお客さんは話を聞いてくれないからです。
それが修理であれ、操作方法の相談であれ、とにかく「簡単にできる」と思ってもらうことが何より大切。
パソコン専門店のようなお店に来て、店員に相談してくるお客さんはだいたいが機械音痴の人たちです。パソコンやIT関係のものに対して苦手意識が強く、専門用語にもアレルギー反応を起こす人も多いでしょう。
このような人たちに対してまず必要なのは、「パソコンは簡単だ」と思ってもらい、抵抗をなくすことです。
言葉がすごいのはこれだけではありません。
お客さんを進化させるのです。
人は、いったん始めると引けなくなる。
実際問題、よほど高度な作業をするのでなければパソコン操作はそれほど難しいものではありません。
初心者の行動を鈍らせる原因は、「パソコンは難しいものだ」という先入観です。
- 簡単な設定で始めることができる。
- エラーが起きても、簡単な操作でもとに戻せる。
一度、錯覚でもいいから簡単だと思ってしまえば、店員のアドバイスの言葉も耳に入りやすくなり、途中で出てくるちょっとした専門用語や英語、カタカナ語にも歯を食いしばってついていくようになります。
一通り話を聞いてもらえればこっちのもの。慣性の法則が働いて、お客さんは引くに引けなくなり、「じゃあお願いしようかしら」ということになってしまうのです。
自分に言い聞かせるのも有効
はじめに「こんなもの簡単だ」と口に出して言うことで、自分を騙してみましょう。
今まで難しい、めんどくさい、と思っていた作業もラクにできるようになるかもしれません。
ほんの少し抵抗をなくすだけで、物事は思いの外スムーズに進むようになります。
ちょっとくらい難しい言葉が出てきても、必死に理解しようとするようになるでしょう。
簡単だという気持ちが錯覚だとしてもかまいません。苦手意識を持ったまま取り組むよりも、遥かに理解は進むし、高いモチベーションを維持したままでいられます。