ほめ続けると成績が伸びる心理

部下をほめて伸ばすにはどうすればいいのでしょうか。ただ闇雲にほめても調子に乗って終わりではないのか、ほめるのは何だか照れくさい、どこをどうほめれば良いのかわからない、と思っている人も多いでしょう。

心理学的に、ほめることの効果は実証されており、やる気を生み出す自己成就予言やビグマリオン効果といったものがよく知られています。実際に効果があるのだから、使わない手はありませんよね。

ではどのようにして相手の向上心を刺激してあげれば良いのでしょうか?

ほめられると成績が上がる理由

人は誰しもほめられると嬉しくなるものです。たとえそれがお世辞だとわかっていても気分がよくなってしまいます。

そして、ほめられ続けると、自分が考えている以上に能力があるのではないかと錯覚し始めてくれます。

すると、プライドを刺激され、自分に期待をもつようになり、次第に「できる人間」に変化していくのです。これを心理学では自己成就予言といいます。

ほめられることによって人は自分に期待をし始め、次はその期待した結果になるように、無意識で、あるいは意識をして何かしら努力したり、行動を取るように変化していきます。

女性が「きれいだね」「かわいいね」とほめ続けられると、きれいな自分であるために化粧を勉強したりダイエットをしたりと努力をして本当に綺麗になっていくのも同じ原理です。

モデルや女優の大半はもとから完全に綺麗なわけではありません。「綺麗ですね」と褒められて、その気になってどんどん綺麗になっていくのです。

同じように、上司は部下をほめることで、彼らに勝手に行動してもらうことができればしめたものです。

人は他人の期待に応えようとする心理が備わっている

部下の心理としてもう1つ、ピグマリオン効果というものがあります。

上司からほめられることで、「自分は期待されているんだ」と思うようになり、どうにかしてその期待に応えようとする心理が働きます。この気持が生まれれば、人は以前より熱心に仕事に励むようになり、結果として成績が上がるというわけです。

いつも怒ってくる人よりも、ほめてくれる人の期待に応えたい、協力したいと思うのは当然ですよね。

まずは上司が部下に期待する。期待された部下は応えようとする。逆はまずあり得ないと考えていたほうが良いでしょう。

ほめることがない部下は何をほめればいいの?

自己成就予言とピグマリオン効果のどちらも、ほめることで部下の心理をうまく刺激し、やる気を起こさせるようにするものです。

「昨日のプレゼンはよく考えられていたね」とか「クライアントへの対応が上手になってきたね」などと具体的なことであればやりやすいのですが、特にほめることがない部下の場合はどうすればいいのでしょうか。

実は、中身なんて何でも良いのです。

実際には褒めるほどのことではないにも関わらず、とにかく無理やりにでも褒めてあげれば、具体的に仕事を褒めたときと同様の効果が現れることがわかっています。要は刺激を与えられれば良いのです。

ほめる対象はどんな小さなことでも良いので、普段からよく観察して相手の良いところを見つけるようにしましょう。こだわらず、些細なことを褒めるようにすると続けやすいでしょう。

より具体的な内容でほめるためには

最悪、「いつも元気でいいね」「笑顔が素敵だね」ぐらいのことでもいいのです。

相手をじっくり観察していれば、だんだん具体的な案が見つかってきます。諦めないで続けてみましょう。

とはいえ、ほめ過ぎには注意が必要です。見え透いたほめ言葉は、かえって相手に不信感を与えることになりかねません。単純で軽い内容でほめる場合は、タイミングに十分気をつける必要があります。

叱ったほうが良いタイプの特徴

褒めるよりも、叱ったほうが成績が上がるタイプの特徴は、叱られたときに、「上司に認めてもらいたい」という心理が働くことです。

そのためは、普段の発言をよく聞いておくことです。過去にスポーツや勉強で成績が伸びたときのきっかけが成功体験だったのか、逆境をバネに奮起したのか、ということが大きな影響を与えます。

人は過去に経験した自分なりの法則に思いの外しばられてしまうもので、「自分は叱られたほうが伸びる(逆境)」と信じている人は、やはり叱られたほうが伸びますし、「ほめられたほうが伸びる(成功や自信)」と信じている人はほめられたほうが伸びます。思い込みの力は偉大です。