地位を追い求める人間の心理

仕事の成果、業績よりも、自分が出世して高い地位につくこと、権威を持つことに拘る人がいます。

地位や権威に固執する人は、通常よりも上昇志向が強い人が多いのですが、その反面、劣等感を抱いているのが大きな特徴です。

上昇志向があるのに劣等感に悩まされる。劣等感があるのに上昇志向を失わない。彼らが抱えるジレンマは複雑です。

理想や目標が高いから起きるジレンマ

仕事を遂行する能力が高ければ、成果を出すことができて、結果的に高い地位について権威を得ることができます。

能力が低い人は、高い地位につくのを諦めるしかないのでしょうか?

そうではありませんよね。能力を高めれば良いのです。しかし、中には能力を高める努力はしないけど地位は欲しいという都合の良い考え方をする人もいます。

自分の能力が低いことはわかっている。能力を上げるのは頑張っても無理そうだけど、なんとしても権力を手に入れたい。そう思ったときに、努力や関心の方向が地位や権威ばかりに向かってしまいます。そして、心の奥では、能力がないことをコンプレックスに感じている。

劣等感が強い人は理想や目標が低いと思われがちですが、実際はその逆で、理想や目標が高いからこそ、それに到達できずに自己嫌悪に陥るのです。

そのため、このタイプの多くはそこそこ仕事ができる能力がある人たちです。しかし、なかなか突き抜けることができない。要するに普通の人ですから、全体に占める割合も多くなっています。

やたらと部下を束縛したがる上司

地位に拘り、出世欲があるタイプの人間は、自分が出世することを第一に考えているため、成果を上げる意欲はあります。

部下をまとめ、リーダーシップを発揮して一生懸命仕事に取り組みます。一見とくに問題はないように思えますが、部下を自分の管理下で働くことを求める傾向があります。束縛するタイプです。

他人を管理下に置きたいと願うことを、心理学で支配欲求といい、人間ならば誰でも持っている社会的欲求の1つです。自分の出世を第一に考える人は、一般的に支配的欲求が強い傾向にあり、これが強すぎると部下にとっては厄介な上司ということになります。

理不尽なことを言うのはだいたいこのタイプです。

有能な部下に対しては劣等感を抱いているので、もし部下が成果を上げたとしても「やり方が気に食わない」とか「なぜ私の命令なしに話を進めたんだ」と怒ったりすることもあります。

「自分にとって、いい仕事をしてくれる部下」が好きなのであって、自分を追い越していくような優秀な部下は邪魔な存在なのです。

社会的欲求の種類

欲求があるからこそ、人は行動をします。欲求がない人間はいません。しかし、欲求も行き過ぎると様々な問題を引き起こします。

すべての欲求は大なり小なり持っているもの。バランスの違いが個性であるともいえます。自分の欲求と向き合い、コントロールする術を身につけましょう。

支配欲求

他人の行動に影響を与えたい欲求

支配欲求が強すぎる人は、何かにつけてリーダーシップを取りたがります。周囲の人間が自分の思い通りに動いてくれないと不満に感じる。

服従欲求

指示や命令に従って行動したい欲求

支配欲求とは逆のパターン。食事する店を決めたがらない人、仕事は支持を受けてするものだと思っている人。何かを習得するときに尊敬する人に師事しようとする人もこのタイプ。

顕示欲求

自分を他人に印象づけたい目立ちたがり屋

外見や地位など他人にわかりやすいシンボルに関心が強い。ブランド品を身につけたり、名刺の肩書に拘ったりする。

達成欲求

何かを成し遂げたいという欲求

困難な仕事ほど燃える。問題が発生すると、避けるのではなく解決したいと思う。

親和欲求

人と結びついていたい欲求

いつも誰かと一緒にいたい。何かとチームやサークルを作りたがる。全てにおいて人と人とのつながりが最も重要なことだと信じている。

承認欲求

自分の存在を認めたい、認めてほしい欲求

好きな人に愛されたい。周囲の人間に、社会に認められたい。SNSにやたらと書き込む。プライベートが充実していることをアピールする写真、コメントを投稿をする。