仕事で手抜きをしてしまう心理と対処法
あなたの職場で、いつも手抜きをしようとする人はしませんか?
仕事で手抜きをしている人は、仕事の内容に興味を持てていない場合と、社会的手抜きの場合の2つが考えられます。
仕事の内容に興味がない人はやる気も出ないでしょうし、手を抜いてしまいがちだというのは一般的な感覚として理解しやすいと思います。嫌な作業をしていると時間が長く感じ、モチベーションもどんどん下がることは想像に難くありません。
では、「社会的手抜き」とはどういうことでしょうか。これは、集団に所属する誰もが陥る可能性があるものですから、会社組織では対策が必須です。どのような原因で発生し、どんな対処をすれば回避、軽減できるのかを解説します。
集団になると手抜きをしてしまう理由
社会的手抜きはリンゲルマン効果とも呼ばれます。具体的にはどのようなときに現れるのでしょうか。
第1段階:全体の意見の流れを追ってしまう
多くの人は、会議など複数の人間がいる場で発言するとき、事前に全体の意見の流れを追ってしまう傾向があります。
もし自分の意見がみんなと異なる場合は、「間違っているのでは」と不安になり、意見を引っ込めてしまうことが多くなります。
これを“同調行動”といって、「集団から外れた行動をしたくない」という深層心理から出てくるものです。
人間はもともと集団で生活している社会的な動物ですから、なるべく所属している集団に合わせようという心理が働くようにできているのです。
第2段階:存在感の認識が低下する
集団の中では◯◯分の1の存在であり、自分の存在感の認識が薄くなる傾向があります。これは誰もが抱く認識です。
「自分1人が頑張っても、どうせたいした影響はないだろう」という心理がはたらくようになります。
第3段階:仕事への意欲が低下する
第3段階まで来ると、仕事へのモチベーション(意欲)が徐々に低下していきます。
「自分1人ぐらいで手抜きしても大丈夫だろう」と無意識のうちに思うようになります。
結果:生産性の低下
「自分1人くらい…」と思う人が増え、集団全体のモチベーションが下がり、無意識のうちに手抜きをする人も増えるようになり、活気が失われて生産性も下がる。
集団の中での手抜きを防ぐには
集団の中では誰しもが無意識のうちに手抜きをする恐れがあります。すべてを防ぐことは不可能ですが、極力抑えることはできます。
そのためは、チームの単位を2、3人の少人数にすると良いでしょう。10人のチームなら、さらにその中で2、3人の小チームを作ることでメンバーの意欲を高く保つのです。
会議を2、3人の少人数で行う場合、多くの人は積極的に発言するのではないでしょうか。出席者が少ないので、1人ひとりの責任も大きいですし、自分の意見を言うことで仕事に参加しているという充実感や満足感を得ることができます。
当事者意識を持つと、人はもっと貢献しようという意欲も出てくるので好循環が生まれます。
会議の出席者が増えると無言で参加しているメンバーの割合が増えていき、社会的な手抜き(リゲルマン効果)が起きやすくなってしまいます。
何も発言しない人間が多数参加している会議は時間のムダです。だったらその時間をつかって発言しない人に別の作業に取り組んでもらったほうが良いでしょう。もちろん、各々が当事者意識を持てるような環境を用意することが必須です。
運営・統率する側は、個人を「◯◯分の1」として扱うのではなく、「1 × ◯◯」で構成されるチームなのだと捉えることが大切です。
リーダーが尻を叩くまでもなく、1人1人が自然と頑張る環境、「自分がいないとこの集団は成り立たない」「自分はこの集団に必要だ」と感じながら仕事に取り組むことができるのが理想的です。