他人の印象は会って3回で決まる

人は出会った相手の印象を、どれくらい時間で決めるのでしょうか?

会った瞬間?5分?1時間?1週間?1ヶ月?

諸説あるものの、その人を「好きか嫌いか」という判断にかかる時間はほんの数秒足らずで終わり、その後の数分で大雑把な第一印象が決まると言われています。

そして、このときの「好き嫌いと大雑把な第一印象」が、その人との付き合いにおいて後々まで大きく影響していきます。最初がいかに肝心かということですね。

では、初めて会ったときに悪い印象を持たれてしまった場合、巻き返すチャンスはあるのでしょうか?あるとすればどのように印象を変えていけばいいのでしょう?

印象を変えるチャンスは3回ある

心理学用語に「スリーセット理論」というものがあります。

この理論によると、人は出会って3回目までに、その人の印象や評価の大部分を固定してしまい、それ以降は単純に第一印象を強めることにしかなりません。

「最初からいい顔して良く思われようとするなんて無理。何度か会っていくうちに、ゆっくり理解してくれればそれでいい」と考える人がいます。

しかし現実には、一度印象や評価が決まってしまったら、後から相手の考えを変えることはかなり難しいのです。

最初で失敗してしまうと、巻き返すチャンスは2回しかありません。ですから、会う機会も時間も限られていることが多い仕事の場合はなおさら初対面の印象が重要になってきます。

自己アピールをうまくやるには?

相手に好印象を持ってもらうには自分を上手にアピールすることが大切です。

一般的に、自分をアピールするのが上手な人は、自分に自信があることが多い傾向にあります。

自信があるというのはどういうことかというと、「いかに自分についてよく知っているか」です。

実社内で営業成績がナンバーワンで実績があるとか、コミュニケーションが高いとうの部分は後付けであり、肝はいかに自分のことをよく理解しているかということになります。

自分の長所や短所をわかっているからこそ、極端に見栄を張ったり、あることないことを取り繕ってしゃべったりすることなく、落ち着いて対応できるのです。

場の空気、相手の心理を理解し、読む

初対面で自分をアピールするのが上手な人は、相手の心理状態やその場の雰囲気などを把握するのも得意です。

場の空気を無視して強引にしゃしゃり出たり、相手が興味を持っていない話題なのに自分の言いたいことをべらべらとしゃべり続けたりすると、「生意気なやつ」「失礼なやつ」と思われてしまい、悪印象を与えてしまいます。

問題は、話の内容ではありません。その場にふさわしい行動を選ぶことができるかどうかです。

そのためには、たくさんの引き出しを用意しておくこと。自分のことをよく理解しておくのは、その第一歩です。

多くの人が良い印象を抱くこと、ものは?

個別のクライアント、一個人それぞれが何を好きで何を嫌いかをすべて把握するのは不可能です。

しかし、多くの人が良い印象を持つもの、こと、行動というのはある程度決まっています。まずはそこを意識すれば良いのです。

例えば、返事の早さと明瞭さ。上司やクライアントから質問を受けたときに、素早くはっきりと答えるだけで、あなたは聡明で「デキる人」という印象を持たれやすくなります。

すぐに言葉が出てこなかったり、もじもじしてあやふやな言葉を発していると、相手は「この人わかってないな、大丈夫かな?」「なんだか頼りないな」「優柔不断だな」とネガティブな印象を与えてしまいます。

そして、その印象は後々まで変わることなく引きずってしまうことになるのです。

だったら、たとえわからなかったとしても、「現段階では◯◯です。内容を詰めて詳細は後日お伝えします」「明確にしたいので上司に相談させてください」など、すぐ返事をするほうがまだマシ。不測のトラブルがあってもきちんと対応できそうだなという印象を与えられます。

上手な人を観察して真似してみる

自己アピールが苦手な人は、気が弱いにも関わらずひとりよがりな傾向にあります。

まずは上手な人を観察し、真似てみることが大切みましょう。周りの人を意識して観察し始めるだけで、あなたは今までとは違う人間になったも同然です。それくらい大きな変化をもたらします。

自分では意識していなかったり、良かれと思ってやっていたことが、実は悪印象の原因であったということが良くわかるはずです。

3回で印象が決まる流れ

人の印象は、出会って3回目までに決まってしまうと言われています。この流れを意識して対人関係に役立ててください。

1回目:大雑把に第一印象を決める

「こういう人なのかな?」と、印象らしきものをつくり上げる段階。ありとあらゆる情報を使い、予測している。

2回目:印象を再判定する

最初の自分の判定が正しかったのか、もう一度判定しようとする段階。印象を変えるチャンス。しかし、1回目の印象を引きずっているので、覆すには相当なインパクトが必要。

3回目:印象を確認する

ここまで来るともはや単なる確認。「やっぱりこの人は◯◯だな…」と思い込みは加速し、相手の印象を固定化する。

4回目以降:印象を強める

最初の印象をさらに強めていくだけ。勝手に作った人物像は完成の域に達する。もう覆すのは難しい。

もしうまくいかなったら…

同じ人に3回会って、自分に対して好印象を持ってもらえない場合は、無理をして親密になろうとしないほうが良いでしょう。こればっかりはどうしようもありません。

短いスパンで何回も接触を試みると逆効果になる恐れも。むしろ少し距離と時間を置いたほうが良いです。

どうしても会わなければいけないとしたら、軽く(でも明るく)あいさつする程度にしておきましょう。必要以上に突っ込んでいくと相手は勝手に悪い方へ悪い方へと解釈してしまいます。

相手があなたを忘れるくらい時間が空いたり、何か印象を変える決定打を仕込めそうな機会が来るまで待ったほうが効率的です。