相手のタイプに合わせて説得方法を変える
- 上司への報告すると、話がわかりにくいと言われる
- 丁寧に作ったはずの企画が受け入れてもらえない
- 反対意見の人を説得できない
- 相手の興味を惹くような話ができない
いくら内容が良くても、相手や状況によっては受け入れてもらえないことがしばしばあります。言っている内容は同じなのに、なぜあの人の話は通って自分のはダメなの?
おそらく、2つの話法の使い分けが適切にできていないのではないでしょうか。
仕事をする上で、相手に話を聞いてもらい説得するためには、基本的に最初に結論を言って理由は後から説明すればうまくいくことが多いです。しかし、状況や相手によっては最後に結論を言ったほうが良い場合もありますので、「結論が先か後か」の2つを上手に使い分けることが重要です。
では状況や相手の見極めはどうやればいいのでしょうか?結論を先に言うか後に言うかの使い分けの基準となるものは?
コミュニケーション能力が高い人は何が違うの?
あなたの周りの同僚や上司、取引先の社員の中には、妙に自分の意見を認めさせるのが上手な人がいませんか?
会議では反対意見を退けて自分の案を通したり、巧みなプレゼンテーションで口説くのが難しいクライアントから契約を取ったり、ドラマや映画のようにビシッと決めてしまう優秀なビジネスマンを絵に描いたような人。
このような人は、もともとコミュニケーション能力が高かったり、人柄の良いといった長所があるケースが多いです。
彼らの高いビジネスの能力を支えているのは、観察力、注意力であり、このおかげで結果的にコミュニケーション力が高くて気が利いてる人という評価を受けています。
優れた観察力と注意力を鍛えるには?
まずは自分が接する人たちのことをよく観察してみることです。人だけではなく、モノでもいいでしょう。
野球のキャッチャーやサッカーの司令塔を務める優秀なスポーツ選手は、誰も気に留めないゴミを見つけたり、周囲の人の些細な変化に気づいて声をかけたりします。
商売もそれと一緒です。いつも注意して観察しているから自然と話が出て来るし、相手によって使い分けることができるのです。
結論が先か後か、使い分ける方法は?
先に説明をしておいて最後に結論を述べるものをクライマックス法といいます。
先に結論を言っておいてあとから説明をつけるものが、アンチ・クライマックス法です。
一般的にクライマックス法で話しかけてくる相手には、クライマックス法で話を返すことを好み、またアンチ・クライマックス法で話しかけてくる相手には同様にアンチ・クライマックス法で話を返すのを好む傾向にあります。
また、この2つの話し方は、状況によっても効果が異なります。
相手がこちらの話に興味を持っている場合はクライマックス法が、相手に聞く準備ができていない場合、話す内容にまったく興味がない場合はアンチ・クライマックス法が効果的です。
結論は後、クライマックス法
- 話し方:先に説明をしておいて、最後に結論を述べる
- 好むタイプ:前置きや形式にこだわる人、粘り強い人
- 状況:面談・面接など、相手がこちらの話に興味を持っている状況
クライマックス法は、状況やデータなどを先に説明し、そこから導かれる結論を最後に提示します。
「◯◯の進捗状況ですが、現在××な状況です。ですから、対応策としては△△を考えています。」というのがクライマックス法です。
相手がその話題に強い興味を持っている場合には大きな説得力を持ちます。しお、そうでない場合には相手に飽きられてしまい、話を最後まで聞いてもらえない可能性もあります。
いつまでも結論が出てこないと相手はじれったいと感じてしまいます。「結局、何が言いたいの?」というやつです。
結論が先、アンチ・クライマックス法
- 話し方:先に結論を言う。理由の説明は後から
- 好むタイプ:論理的で合理的な考え方をする人
- 状況:相手に聞く準備ができていない場合、相手がまったく話す内容に興味がない場合
アンチ・クライマックス法は、「結論から先に」言う方法です。相手が話の内容に興味を持っていない、または興味を持っているかどうかわからない場合には、結論を最初に提示してからその根拠を説明していくアンチ・クライマックス法のほうが食いつきは良いでしょう。
「◯◯については、△△がよろしいでしょう。その理由は、××です」というのがアンチ・クライマックス法です。
アンチ・クライマックス法の場合、最初に提示する結論の内容によっては相手を一気に引き込むことができます。もし話が途中で終わってしまうことになっても、とりあえず言いたいことの核心は最初に伝えているのでビジネスの場では基本的にアンチ・クライマックス法のほうが向いています。
そのあたりは、交渉相手によっても切り替える必要があります。一般に、クライマックス法で話すことが多い人は、相手からもクライマックス法で話されることを好む傾向があります。アンチ・クライマックスも同じです。交渉や説明をうまく進めるためには、相手や状況をよく見て、どのような話し方をするのが最適かを見極める、その判断がとても重要になります。
上手な説得の方法
腕のいい営業マンは、クライマックス法とアンチ・クライマックス法をうまく組み合わせて説明しています。
先に結論を言いつつも、「しかし、これにはひとつ問題があって…」と続く。そして、その問題をどう解決するかについてクライマックス法で解説。最後にあらためて結論を言うことで説得力が増す。
最初に興味を引き、興味を持ってもらった後はじっくりと解説することにより、相手を上手に惹き込みながら説得していきます。
まず結論
あなたは1か月で10kgやせることができます!
インパクトのある結論を最初に持ってきて、相手の関心を引く。
謎掛け
ただしそのためには、たったひとつ守らなければならないことがあります。
大事な結論を補足する内容をもったいぶることで、さらに関心を引きます。
説明
理由を説明する。
結論
たったひとつ、◯◯を守ることで、あなたは1ヶ月で10kgやせることができるのです。
もったいぶった内容とともにもう一度結論を話すことで、クライマックス法の効果も得られます。
実際に活用するには?
クライマックス法とアンチ・クライマックス法は、男と女、客のタイプ、媒体の種類によって有効なものが変わります。様々な状況や相手によって使い分けることでより効果を発揮できるでしょう。
客の状況によって使い分ける
購入をまだ決め兼ねている客に対しては、アンチ・クライマックス法が有効です。クライマックス法でもったいぶっていると、「説明がくどいなあ…他にも見たいので、また」と去られてしまうかもしれません。逆に、購入することに前向きであとひと押しがほしいという客は、クライマックス法でじっくりと解説したほうが安心感を与えられるので効果的です。
媒体によって使い分ける
広告は、商品やサービスの魅力を一瞬で伝えなければならないので結論が先です。たとえばダイエット商品であれば、「一週間で◯キロ痩せる!」「脂肪の吸収を抑える!」などの効果をまず知ってもらうのが大切です。
しかし、テレビCMなどの時間がある広告なら、クライマックス法で最後にアピールポイントを主張したほうが効果が高くなります。サプリメントのCMなどはドラマ仕立てで最後の最後に商品が出てきまよね。ドラマを見て登場人物に共感した視聴者は、最後で紹介される商品を抵抗なく受け入れてしまいます。
好きな話し方に合わせる
クライマックス法(最後に結論)で話すのが好きな人は、話を聞くときもクライマックス法を好む傾向にあります。その逆も一緒です。人はみんな、とにかく自分のやり方が好きなのです。
友人との会話で、面白い体験を話したいと思ったら、その友人が普段どちらの話し方をするかを思い出してみてください。変えましょう。クライマックス法の話し方をする人にはもったいぶった話し方に、アンチ・クライマックス法で話す人には結論から先に伝えることで、相手は興味深く話を聞いてくれます。
男女で使い分ける
一般的には男性はアンチ・クライマックス法を、女性はクライマックス法を好むと言われています。
男性に対しては、要点は早めに伝えてしまわないと「結局なにがいいたいの?」「で、結論はなに?」と急かされてしまうでしょう。男はだいたい理屈っぽいものです。
女性に対しては、展開のある話で結論や要点は最後のほうに持っていくことで、相手を楽しませることができます。極端な話、結論や解説なんてどうでも良くて、途中の盛り上がりのほうが重要なのです。