すぐに転職を考える人の心理
前向きなキャリアアップのための転職ではなく、ただなんとなく職を転々としてしまう人はどのような心理を持っているのでしょうか。
こうした人は青い鳥症候群と呼ばれており、ここにはない「どこか」に、夢や希望を抱いているが故にひとつの場所にとどまりません。
彼らが青い鳥になってしまう原因は、現在の国の状況と本人が育ってきた環境の影響が大きいと考えられます。
実際問題、同じ仕事を続けるのは厳しい
高度経済成長期(1950年代半ばから1970年代前半まで)の日本では、企業が従業員を定年まで雇用する終身雇用制度が当たり前とされていました。しかし、1991年にバブルが崩壊して低成長時代に入ると、この制度に揺らぎが生じ、今や崩壊寸前となっています。
若者たちは、「社員を大切にしてくれる会社」なんてものは幻想だということをわかっています。「うちはブラック企業だから」と低賃金長時間労働を自虐ネタとして扱っているくらいです。
不況を不安に思ったり、贅沢を求めない価値観から仕事に安定を求める若者も数多くいますが、それでも21世紀以降は、「転職なんて当たり前」という認識はどんどん広まっています。
新卒で入った会社に定年まで尽くすという感覚は過去のもの。それは仕方がないとはいえ、あまりにもあっさり会社を辞められると雇う側も困ってしまいます。
社会的な背景が原因のひとつしてあるものの、単に我慢できない、興味関心がすぐ他に移ってしまう人が抱える心理的傾向は育ってきた環境にヒントがあるようです。
「もっといいものがある」と思ってしまう理由
就職活動という熾烈な争いを経て何とか職を手に入れたものの、数年経つと「いや、もっといいところがあるかもしれない…」と思い始めるのはなぜでしょうか。
明日の暮らしにも困る貧困ではなく、休日には趣味を楽しんだり年に1度は海外旅行に出かけたりできるほどの状況でも、転職を考える人は少なくありません。
「何か」を求めてフラフラさまよう人のことを、心理学では「青い鳥症候群」と呼びます。
青い鳥症候群になる人の特徴
青い鳥症候群は、幼い頃から過保護に育てられて学校の成績が良かった人や、何をするにも親の監視下に置かれていた人が多く陥ると言われています。
その人たちは、そこそこ成績が良かったのでプライドが高いです。しかし、社会性を養う訓練をしないままに大人になってしまい、思い通りにならないと我慢できなくなるといった共通点があります。
もちろん、親が優しくて過保護気味で学校の成績が良かった人すべてが青い鳥症候群になるわけではありません。絵に描いたような人格者だってたくさんいます。ただ、どうしても原因になりやすいという話です。
- プライドが高いから、自分はもっとできると思ってしまう
- 社会性が低いから、思い通りにならないと耐えられない
プライドと遅れてきた好奇心の相乗効果
何をやってもある程度うまくいってきた人は、「できない自分」「主役ではない、その他大勢である自分」をなかなか認めることができません。
ずっと親の監視下に置かれていた人は、大人になって自由を手に入れると今まで出会わなかった価値観に触れ、もっと広い世界を見たいと思うようになります。多くの人にとっては当たり前のことでも珍しく感じるのです。
新しいことに挑戦したいという気持ちと、失敗する自分なんて認められないという気持ちが相まって、フラフラと転職するという行動に結びついていくのでしょう。
あれほど求めた幸せが、手に入れた瞬間に色褪せる矛盾
人間は、手に入れるまでは強く求めても、いざ手に入るとそれがくだらないものに思えてしまう心理があり、これを「幸せのパラドックス」といいます。
生きるためには、獲物を取りに行くモチベーションを上げなければなりませんが、いつまでもハイテンションでは疲れてしまいますから、ある意味では理にかなった心理なのですが、これが仕事になると少し厄介です。
せっかく大変な入社試験を通過して憧れの仕事についたのに、いざ働き始めると欠点ばかりが目につくということがあります。
このような人は、ある仕事をどんなものかと捉えるときに、「実務、作業、日常」といった細かいけれど大きな割合を占めるところに目がいかず、「格好(服装)、商品、給料」などの目立つけれど占める割合としては非常に小さい部分に注目してしまっていることが多いです。
スポーツ選手は試合以外の練習が大変ですし、歌手は同じ歌を何回も歌わなければなりません。タレントはテレビ以外にも泥臭い営業がつきもので。広告業はデザインというよりも人と人との調整ばかり。
悪い面を見ろとは言いませんが、物事を見るときには色々な角度から検証するということは忘れないようにしたいものです。