一目惚れが起きるメカニズムと正しさの理由

一目惚れとは、初めて見た人のことを一瞬で激しく好きになる状態のことです。

どのような人が、どのようなときに一目惚れするのでしょうか?

多かれ少なかれ人は無意識のうちに恋人の理想像を描いているもので、それに合致した人に出会ったときに一目惚れは起こります。ではその理想像はどうやって作られるのでしょうか。

一目惚れが起きるメカニズム

一目惚れしたからといって、瞬時に相手の性格や心の内を見抜いて好きになるわけではありません。テレパシーのようなものだとしたらそれはとても素敵ですが、残念ながらそうではありません。

一目惚れを引き起こしているのは、以前付き合った異性のタイプからの連想や、映画や小説などから作り上げた自分の恋人の理想の姿です。

出会った人が、過去に好きだった人や思い描く理想の異性に似ていると感じたとき、「これは私が求めていた人だ!」とビビッときて恋に落ちる。これが一目惚れの正体です。

人は恋に落ちたとき、脳内ではPEAというホルモン物質が大量に分泌され、興奮状態になります。この物質により心が麻痺状態になり、他のことが考えられなくなります。

「好きな人のことを考えて何も手に付かない、ご飯も喉を通らない」というのは本当にありえる話なのです。

一目惚れは3つタイプに分かれている

一目惚れはどのようなときに起きるのでしょうか?代表的なものは3つに分けられます。

1.自分が思い描いていた理想の人だったとき

自分が思い描いていた理想のイメージぴったりの異性に出会ったとき。

理想のイメージを作るものとしては、今まで出会ってきた人や恋人、家族の他、映画や小説の登場人物などがあります。記憶に強く残っているものが影響しているのです。

2.顔の特徴が自分に似ていたとき

目や鼻、口元、顔の雰囲気などが自分と似ていると親近感がわく。

人は自分に似ている存在に親近感を覚えるように出来ています。出身地や学生時代の部活、ひいきにしているスポーツチームなどが同じだと仲良くなりやすいですよね。それと同じで、見た目が似ているものに対しても好意を抱きやすい性質を持っているのです。

3.相手が自分に持っていないものを持っている人

自分に似ている者に親近感を抱くのとは逆に、似ていない者にも人は好意を抱くことがあります。

似ていないということは、つまり遺伝子が大きく異なっているということ。自分にはない遺伝子を持っていると、自分と交配することによって、自分よりも優秀な遺伝子(子ども)を残せるのだと本能的に考えるのです。

一目惚れの男女の違い

一般的に、恋愛において男性のほうが外見を重視し、女性は相性を重視する傾向にあります。

そうなると男性ばかりが一目惚れしているかのように思えますが、そうでもありません。

人が相手のことを好きか嫌いかを判断するのは約0.5秒と言われており、これに当てはめると男性は一瞬で外見が好みかどうかを判断し、女性は相性が良いかどうかを見定めていることになります。

たとえ一目惚れとまでは言わなくても、今後どうなるかは出会ってすぐにある程度決まってしまっていることが多いようです。

ひと目惚れで結婚すると離婚しにくい

会ってすぐ、相手のことを深く知らない状態で惚れるのが一目惚れですから、付き合ったり結婚した後で相手の本性がわかり幻滅して別れてしまうことが多そうに思えます。

しかし、現実は逆で、一目惚れの夫婦のほうが長続きすることがわかっています。

アメリカでの調査では、一目惚れ夫婦の離婚率が約25%に対して、そうではない夫婦の離婚率は約50%。2倍も違います。アメリカのような離婚が多い国でこの結果というのは興味深いことです。

ひと目で恋に落ちて結婚し、死ぬまで長く添い遂げる、という理想の愛を成し遂げるのは、一目惚れから始まった恋のほうが実現できる可能性が高いのです。

一目惚れは理想と現実のギャップに悩まされやすい?

データ上は、うまくいきやすい一目惚れですが、失敗してしまうパターンもあります。

外見から判断して一目惚れするということは、自分が勝手につくり上げた理想や幻想に惚れ込んでしまっている状態です。

実際に付き合っていくうちにその人の本性がわかってきて、理想と現実のギャップに悩まされてしまうことが少なくありません。

好きなのはその人ではなく、「自分が描いた理想の人」のままだと、恋人と長く付き合っていくのは難しいのです。

2つの恋愛感情をコントロールする

恋愛感情には恋と愛の2つがあります。恋が瞬間的な性的興奮とすれば、愛はもっと深くて長く続くものです。

一目惚れはまさに瞬間的なもので、強い生理的な興奮を伴う情動体験。このタイプの恋愛は一過性で、熱しやすく冷めやすいといえます。

一過性ではない、しっかりとした愛を育んでいくためには恋人と2人で過ごす時間が少なくとも6ヶ月は必要といわれます。逆に言えば、半年続いたのであれば、さらに先に行ける可能性は高いといえるでしょう。

そのためには、相手の外見だけでなく、思いやりや性格、知性などの意識を向けて付き合っていく必要があります。

まずは自分の直感を信じることが大切ですが、その後も続けていくには相手としっかりと向き合い、自分の感情、行動をコントロールする努力が必要です。